ひらめさんはふと思いました。 先日から問題を引き起こしているヒヨの

ヒヨボとキーキも こんな自然の中で暮らせたらいいのかもしれないですべん・・・と。

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その言葉を最後まで言い終わるのを待ちきれずに 

アオサギさんはご主人であるアマサギの胸の中に飛び込みました。

スタートはいつからだってできるのかもしれません。

こちらはお店の中のひらめさんです。       べべん べんべん べべん べん ♪   

ようやく元の声がでるようになったひらめさんの手(ヒレ)元には一枚の写真がありました。

アオサギさんは びっくりです。 だってこんなことは長年の結婚生活で初めてのことでしたから!!

「あなた ワタクシがその舞台を好きなこと どうしておわかりになったのかしら?」

アオサギさんのご主人である

    アマサギさんが言いました。

そうと決まれば決断力も早いものです。

とつぜん!

容姿端麗で、何不自由なくセレブな暮らしをしているように見えるアオサギさんですが なんだかちょっと淋しそうです。

                          そして 自信を失くしかけているようにも感じられます。

「アタクシなんて ・・・ 」

    今度はアオサギさんがため息です。

そんなため息まじりのコケ郎さんに 

  アオサギさんが しみじみ言いました。

相変わらず美しくて気品が漂うアオサギさんですが

    今日はなぜだか沈みがちです。

コケ郎さんは以前のコッカさんの件以来、このお店が大のお気に入り!

だけど、ふだんは仕事が多忙なのと 家で子供たちや妻のコッカさんの手料理が

待っているため なかなか立ち寄ることができないのです。

「キミのことはいつだって ちゃんと見ていたよ。 だけどキミは自分を飾ることに精一杯で

ボクのことなんて眼中になかったのもわかっていたんだ。

それでも 特に喧嘩をしたり、いがみあったりしているわけじゃないから、

まあいいか・・・って ・・・ ずっと自分に言い聞かせてきてもいたさ。

でもある晩、どこからなんだろう ・・・ 不思議な歌が聴こえてきた。 

その瞬間 ”やっぱりこのままじゃいやだ! キミとしっかり向き合いたい!”って思ったんだ。

そしたらキミのほうがどんどん変わってきて・・・ 」

「おじゃまします〜」

アオサギさんが一人(匹)でお店にやってきました。

大自然に囲まれて元気に戯れる三つ子ちゃんと

幸せそうなコケ郎さん、コッカさんの様子が

地球の裏ッ側から しっかりと伝わってくるのでした。

イベントが終了後 アオサギさんは言いました。

ところが コケ郎さんが 何気なく言ったそのひと言で ・・・

ガラガラガラッ   そこへ コケ郎さんがやってきました。

翌朝 早起きをして 家(豪邸)の大掃除を始めます。

  ガラスや鏡をを磨いてみると なんて気持ちがいいのでしょう!

べべん べんべん べ べ ん     へ  ん へん へん  ・・・    ・・・  

そんな矢先の時です。

シラサギさんのひと言で すっかりやる気を出したアオサギさん。

さて 当日は若いママたちが次から次へと会場にやってきました。

ドアを開けると シラサギさんが ・・・

一方 アオサギさんは

海外赴任の話、そして それがかつて昔からの夢に繋がっていくこと ・・・

   それとは別に 家族をとても愛しているということ ・・・

  だから とてもとても迷っているということ ・・・


       コケ郎さんはコッカさんの目をみつめながら 

          本音を正直に打ち明けました。

コケ郎さんは 起きて帰りを待っていてくれたコッカさんの前に正座をします。

あれあれ!なんだか歌声の様子が変です。

そう!これはまぎれもない ひらめさんのアカペラではありませんか!

咄嗟のことに いつもの三味線を取り出す余裕のなかった

ひらめさんが肉声で歌っているのです。

「べべん べんべん べべん べん  べべんべんべん  べべん べん  べんべんべんべん  べべん べん」

・・・ って ところで

    問題は コッカさんです。

先日も、それとなく話を切り出そうとしたら ・・・

  もちろん それはコケ郎さんが日々、コツコツと

     まじめに努力して仕事に取り組んできた成果です。

        嬉しくないわけがありません。

そして何より、大きく羽ばたけるチャンスであることも感じています。


                    だけど ・・・

ほどよくまわったワインに加え美味しそうな香り ・・・ それだけでもある程度、心は満たされるものかもしれません。

コケ郎さんが ポツリと口を開きます。
    「じつは  ・・・」

さっそく いそいそと準備に取り掛かり始めました。

彼女たちはアオサギさんの心のこもったアドバイスで

見違えるように輝き、大喜びで帰っていきます。

アオサギさん自身も 楽しくて嬉しくてたまりません。

こんな気分は初めてでした。

「実はね、次回のイベントなんだけど ”子育て中のママたちに素敵なおしゃれを!”っていうテーマで企画しているの。

それでもしよかったら、あなたにそれを担当していただけたら嬉しいな〜と思って 伺ったのよ。」

        アオサギさんは即答です。 「ええ!もちろん 喜んで!!」

”ピンポ〜ン”  そこへ玄関のチャイムが鳴りました。

コッカさんは言いました。 「せっかくの機会だもの! わたしたち皆で移りましょう!!」

ふだんは最後まで話を聞かずに カ〜ッとなりがちなコッカさんですが今日はちがいます。

    コケ郎さんの ひと言ひと言がじ〜んと心に伝わってくるのです。 

        ここのところあれだけ「お受験」にふりまわされていた考えが 180度転換されたのでした。

まあ 大事に至らなくて一安心! 二人はお店をあとにして岐路に着きました。

    先ほどから必死で歌い続けたひらめさんは

  ついに声がおかしくなってしまったのです。


「べん」が「へん」に そして ひ〜 ・・・に ・・・

二人(匹)は熱いものを胸に込み上げながら

”今、自分はいったい何をすべきなのか ・・・”

その優先順位を素直に問いただしておりました。

そして、それは相手に求めることではなく、自分で考え、自分で行動していくものだ!ということも ちゃんと感じ取ったのでした。

ところどころ音程がはずれたりしていて 決して上手とはいえない歌声ですが

温かくって一生懸命なものが ダイレクトに心の芯に響いてきます。

べべん べんべん べべん べん  べべん べんべん べんべんべん

二人(匹)は 我に返ります。

大きな音 ・・・ いえ、声がしました。

コケ郎さんも こんな美女が目の前にあってとは ・・・

    思わずくちばしを ・・・

ア ア ア ア ・・・ アオサギさんっ 〜!!

   それは ちょっと 〜!!

それでもコケ郎さんは、家族に負担をかけたり巻き込んでしまうことを考えると 次に踏み込めないでいるのです。

コケ郎さんは、それ以上何も言えなくなってしまったのです。


「何も無理に受験なんてさせなくっても・・・」と、喉まで出かかった

言葉も、ぐっと飲み込んでしまいました。

   もちろん子供たちは彼にとっても、可愛くてたまらない存在です。

 だけどこの機会をのがしたら ボクは一生後悔するにちがいない ・・・

そこへ  「お待たせですべん〜」

   いい香りのフルーツピザが焼きあがりました!

最初のうちは たわいもない世間話を交わしていた二人(匹)ですが

ボトルが空になっていくにつれて(今日のこの二人はピッチが早いのです)どちらも

少し思いつめたような表情で無口になっていきます。

アオサギさんは 奥さんのコッカさんやあの可愛い

三つ子ちゃんたちのことを思い出しました