隣の病棟に入院しているジョウビタキの男の子に出くわしたんじゃと ・・・

アイツは昔の ・・・

”素晴らしいのはキミのほうだよ。 昔一度 病院で見かけたことがあったんだ。

 一生懸命なキミを見て すごいな〜!って思ったよ。”

ドバトさんも大きく頷いています。 ちくわさんが頷きながら言いました。

それだけ言うと さっさと帰っていきおった ・・・

大ドバトさんはあわてて言い訳をしながら 続けて言います。

    その後 キューイチは言うたんじゃ

      ひらめさんも言います。

「ぴこちゃんの存在が彼女の中に生き続けているからこそ、

今まで動き出せなかった分、今度は大きく飛躍ができるはずですべん」

そして その言葉通り その後のアイツの頑張りはすごいもんじゃったよ。

いや、すごいというよりかは そうせざるをえん・・っちゅう感じやったな ・・・

もちろん 病院には 他の患者さんも大勢おる ・・・

ぴこちゃんの笑顔が見たいあまり

売店に向かおうとしたところへ ・・・

なんだかんだと言いながら ちゃんとしっかり介抱をして

2人(匹)は帰路につきました。

そこへ なんとタイミング良く!?器を取りに来た大ドババさん

でんっ!! と大きな音をたてて

ひっくり返ってしまいました。

     ひらめさんは言いました。

「我々は多かれ少なかれ 誰かのお役に立ちたいという思いがあるのでしょうね。

そして 相手に喜んでもらえることによって自分も又、喜びを感じる ・・・

   だけど いったん衝撃があったり、拒まれてしまうと 

     なかなか次の一歩が踏み出せなくなるものなんです べん

そして場を違えて 空回りしたりする ・・・ 本当の役割、本当の居場所を

見出すまでには時間を要することだってあるのかもしれません べんべん

でも 大丈夫! ちょっとしたきっかけがあれば いくらでも変われるんですから べんべん」 

二次会にも向かわず 裏口の駐車場で

  ずっと泣き続けておった。

宴も終盤にさしかかる頃 キューイチが声を掛けたんじゃ

そん中には昔、アイツが想いを馳せておった相手もおっての ・・・

    鳩一(キューイチ)ってゆー奴なんじゃが ・・・



       昔と変わらず アイツは遠くから少し意識をしておった。

   すでに、ご存知やとは思うが、わしとアイツは幼なじみで同級生やった。

そして 数年ぶりに同窓会っちゅうもんがあったんじゃ。

その時 ドバトさんが 

  思い出したように口を開きます。

恐いもの知らずで言いたい放題 ・・・  だけどそれは辛い過去を包み隠す鎧のようなものであり

    内面ではずっと振動し続けている ・・・ っていうことも ひらめさんは最初から感じておりました。

あなたのせいで ・・・ あなたのせいで ・・・ あなたのせいで ・・・

    アイツの憔悴ぶりは相当なもんじゃった。

もちろん アイツのせいやないことは

     病院の者たちもわかっておった。

医療の現場では ありがちなことやとも言われとる。

  しかたのないことやったんじゃ ・・・


    それでもアイツは自分を責め続けた。

だいぶんたって アイツが病室に戻った時 ・・・

  病院食も喉を通らなくなりかけていた

ぴこちゃんの大好物が、いちごのアイスクリーム

 だってことも アイツはよく知っていた。

勤務もあけて 帰ろうとしたある日

ぴこちゃんが言うたそうじゃ。

ひらめさん、ちくわさん、ドバトさん 3人(匹)は それぞれ最初に出会ったときのことを思い出し苦笑してしまいました。

その ワンフレーズをすとんと胸に受け止めて以来、アイツは二度と職場に足を踏み入れられない精神状態に陥ってしもたんじゃ。

誰が引き止めようが、何と言おうが 無理じゃったよ。  そしてわしらは、いつしかこんな年齢になってしもうた。

じゃが 元々周りのことが気になり放っておけん性格なんじゃろな  ・・・ さらに歳を重ねて図太うなったんもあっての
 ・・・

すれ違いざまに お母さんは言うた。

大ドバトさんはそこまで一気にしゃべると 

  ボボボッ ・・・ としゃくりあげながら 

珍しくウイスキーのお湯割を注文します。

ぴこちゃんの容態は 急変していたそうじゃ ・・・

  ”どば子さん ・・・ どば子さん ・・・” って うわごとのように言いながらの
 ・・・

        そして その夜 ぴこちゃんはお空に旅立っていってしもたんじゃ ・・・

このへんのおせっかい・・・というか 親切は 今でも目に浮かぶじゃろう

じゃが ・・・ ぴこちゃんは重い病気にかかって入院しておったんじゃ。

あれだけアイツのあとを ついてまわれる元気があるっていうのが不思議なくらいにの
う  

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本名は「どば子」さんだったのです。

学生時代の2人(匹)→

今は想像もつかんとは思うが ほんまに照れ屋やったんじゃよ。

決して攻撃的ではないにせよ 凍るような冷たい視線 ・・・

そんなある日 街中でばったりとぴよちゃんのお母さんとすれ違ったんじゃと ・・・

         ↑
大ドバトさんと大ドババさんが若かった時

今でこそ 口うるさいおせっかいババアじゃが 

  あー見えてもみんなを癒し

   心優しいところがあったんじゃ

そう言うと 大ドバトさんは残っていたお湯割を一気に飲み干し

そう言いながらも 大ドバトさんの表情は少し複雑そうです。

大ドバトさんは、一呼吸して話を続けます。

  まあ たわいもない挨拶程度の会話じゃ ・・・

あっ!何もわしは盗み聞きをしとったわけやない ぼっ

   聞こえてきただけじゃ 聞こえてきただけっ ぼぼぼっ  

その後 アイツもロビーを飛び出していっての ・・・ 

 わしはてっきり キューイチの後を追いかけたと思ったんやが違たんじゃ ・・・

時代と共に内情も変わってきておる。そのために一から勉強をし直そうと思っておるんじゃ。

  まあ 今やからこそできこともあるはずじゃよ ・・・という大ドバトさんの口調は

    心の底から 温かく見守っているというような感じでありました。

アイツは今までにもまして 一人(匹)一人(匹)に

丁寧に情熱を持って接しておった ・・・

アイツも少しでも何とか役に立ちたいという一心で、夜な夜な勉強もしておった。

それからじゃ アイツがどんどん変わりだしたのは。 キューイチのひと言で 今までわしが何を言うても聞かんかったアイツが

動き出したんじゃからのう ・・・ あっ 何も今更 胸キュンなんて意味ではないがの
 ・・・

それでも、ここに出入りするようになり、みんなと関わるようになってからは ”あたしももこのままじゃいけないわ”っていう思いに

駆られるようになったんじゃ・・・と 大ドバトさんは付け足して言いました。

泣いて 泣いて 泣きわめいて ・・・ 食事も喉を通らんようになってしもうて ・・・ そして 泣き疲れて ・・・

   わしは アイツのほうが どうにかなってしまうんやないかと心配した ・・・

大ドバトさんは薄〜いお湯割を飲み むせながらも また話を続けます。

ちくわさんもドバトさんも うつむいたまま言葉がでてきません。

しかしじゃ ・・・ 一ヶ月ほどして 何事もなかったかのような顔をして仕事に向かいおるアイツに、わしは出くわした。

アイツはいつも ぴこちゃんの話題で、もちっきりじゃったよ。

まだ若かったってこともあったんじゃろーな ・・・

まるで自分の娘のよーにかわいがっておった。

その中でも、とりわけなついている娘がおったんじゃ。

コマドリの女の子での
、たしかぴこちゃんって言うたかの ・・・

わしも一度会うたことがあったが ほんまにかわいい娘じゃった。

面倒見がええから 誰からも頼られ慕われておっての ・・・

入院患者の子供たちは いつもアイツのまわりにまとわりついとった。