そう、その発したコトバというのは ・・・   

    今日の夕方のことでした。

ここのところ残業続きのコケ郎さんですが
今日は土曜日とあって珍しく子供たちが起きている時間に帰宅です。

三つ子のチビちゃんたちは、おおはしゃぎでまとわりつきます。
コケ郎さんもそんな笑顔をみると昼間の会社での疲れなど吹っ飛んでしまうから不思議です。

ふと、気が緩んだのでしょう。コケ郎さんは食卓に目をやるなり ・・・

何の悪気もなく無意識に発したこのひと言 ・・・

もちろん傍からみたら、どこにでもありそうな会話のひとコマにすぎないのですが ・・・

しかし、今日のコッカさんにとっては、そうもいかなかったのです。

そもそも 「なんだ またこれか〜」と言われたお料理は決して出来合いのものやレトルトのものでもありません。
手抜きだってされていません。それどころか季節のお野菜がたっぷりと入ったアツアツのものです。

ただ、毎日毎日 子供たちの世話に追われて
休む間もないコッカさんは、バラエティに富んだ
メニューを考えつく心の余裕がなかったのです。

その日だって早起きしてお弁当を作って ・・・

家族を送り出した後 ・・・

まずはせっせとお洗濯!

お掃除はやってもやってもキリがありません。

次はスーパーへ直行です。

重たい荷物を引きずってヨタヨタと家に帰り、冷蔵庫の整理をして ・・・ 
 
    明日持っていかねばならないPTAの資料をまとめていると ・・・

元気な声がしてチビちゃんたちが帰ってきました。

おっと!!その後ろにはお友達も ・・・

賑やかなのはいつものことですが、そのうち
ケンカは始まる!お菓子は散らばる!モノはこわれる!

コッカさんはもう何がなんだかわからない状態です。

あげくの果てカーテンレールごと落っこちて
しりもちついて大騒ぎ 

本来なら 「お外で遊んでいらっしゃい!」 と言いたいところですが、いつも遊んでいた公園は先月コインパーキングに
変わってしまい、川を隔てた空き地にはぶっそうな者も出ると噂が飛び交っています。だからこんな状態もいたしかたがありません。

お友達が帰っていった後は ヘロヘロのコッカさん ・・・

そんな訳ですから、手の込んだものや
品数はなかなか作れません。

それでも、それなりに栄養バランスには
気をつけているつもりです。

しかし休む間もなく あわてて食事の支度に取りかかります。

で、 ・・・ できあがったものが 先ほどの「これ」 だったのです。

それが ・・・ それが ・・・  (話は戻りますが)

コケ郎さんのたわいもないひと言は

日々、目の前のことでいっぱいいっぱいのコッカさんにとって トサカが逆立つようなものでした。

そう叫ぶとコッカさんはエプロンをほうり投げ バタン!!と玄関のドアを開けて
すさまじい勢いで外にとび出していったのです。

はいっ 行き先はもちろんここ!

「ひらめさんのお店」です。

今まで入ったこともありませんでしたが
なぜだか ず〜っと気になっていたのです。

そんな訳で ・・・ またまた話は戻りますが ・・・

家族のお迎えによって興奮状態をぶり返したコッカさんは
いつまでたっても納戸から出てこようとしません。

中から鍵をかけた上につっかえ棒までしています。

ふだんなら子供たちが泣き出すと、あわててとんでくる
   我が子思いのおかあさんだというのに ・・・
      今日はいったいどうしたことでしょう ・・・

さすがにみんな心配して集まってきました。

優しく諭す シラサギさんとアオサギさん

ドバトさんもいつもの口調です

ひとりひとりが説得を始めます。(ひらめさんだけは何かを確信しているようでしたが ・・・)

ちくわさんだって それなりに ・・・

しかし誰が何と言おうが ますます逆効果です!!
  みんなの視線は当然のことながら ひらめさんとその手(ヒレ)に持つ三味線へ ・・・

♪べべん べんべん♪ べべん べん♪

  ♪べべん べんべん♪ べんべんべん♪♪

いつものことながら みんなうっとりと
  いい気分になりはじめました。

ところが、肝心のコッカさんは ・・・

あらあら 耳をふさいでさらに意固地になっているではありませんか!!

ずいぶん時間も経ってしまいました。でも、このまま放っておくわけにはいきません。

さすがにみんなも疲れ気味 ・・・  お店の中はど〜んと重苦しい雰囲気です。

ガラガラガラ ・・・

・・・と、その時 扉が開き    そこへ現れたのは ・・・

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