ひらめさんが 夕方からのお店に備えて お料理の盛りつけをしているところへ
 
              やってきたのは 大ド婆(おおどばば)さんです。

ひらめさんのそんな声には耳もかさずに 

   大ドババさんは つかつかと中に入ってきて カウンターの前にどかっと腰を下ろしました。

 大ドババさんは お水を3杯飲みほすと

ベラベラと 大きな声でしゃべりはじめました。

ひとしきり しゃべり終えたあと 

大ドババさんは お店の中をぐるりと見回して ・・・

あれやこれやと チェックを入れたあと

  さらにカウンターの中に回り込んできました。

この調子ですから ひらめさんは 

  口をはさむ余裕もありません。

大ドババさんが帰っていった後 ひらめさんは、久々にエネルギーを消耗している自分に気がつきました。

もちろん、大ドババさんに悪気のかけらなどさらさらないことは ひらめさんだってよくわかっています。

でも お客さんがやってくる前に 自分の気持をリセットしておかなくては!!と ひらめさんは三味線を取り出しました。

♪ べべん べんべん べべん べん ♪♪

   べべん べんべん ♪ べんべんべん ♪

ガラッ ! 扉が開きました。 「いらっしゃいま ・・・・  ・・・ ・・・ 」

   そこには 涙で顔をぐちゃぐちゃにした大ドババさんが 立っているではありませんかっ !! 

その瞬間 ひらめさんが発した声は

「べん」ではなく 「ひっ」 でした。

 こんな 大ドババさんですが 

実は意外な面もあるってことが 

  後々わかってくるのです♪

大ドババさんは立て続けに 

   いいたいことを言った後 

すっきりした顔で扉のほうに向かい ・・・

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