ひらめさんが このような貼り紙を残して姿を消してから

早、数週間が経ちました。

その時です

←最初のページに    次のページに→

それなのに ここのところ ・・・

いきなり 敬称なしの「ドバト」呼ばわりをされ、いささか心外ながらも、ドバトさんは黙ってガーコさんの話に耳を傾けます。

ふんっ!と一瞥しながらも ガーコさんは

このまま帰りたくもない気分です。

「どうなさったんですか?」 と訊ねるドバトさんの前で 何度もため息を連発しながら

「ただ ちょっと話を聞いてほしかっただけよっ」と はき捨てるように言うガーコさん ・・・

そして ドバトさんと目が合うやいなや

常連さんたちは ひらめさんが必ず戻ってくることを信じ、いつでも気持ちよく迎え入れられるよう

代わるがわるに お店の周りをお掃除したりしています。

ガーコさんは気持ちがほぐれてきたのでしょうか ・・・

      「じつはね ・・・」と またまた話を切り出してきます。

ぐっと気持ちを押さえ込んでしまうので

気付けばストレスが溜まっている次第 ・・・

ガーコさん、先ほどドバトさんに向かっては

あんなに険のある言葉を投げかけたりするくせに、

お父さんに対しては、なぜか強く言えないのです。

ガーコさんが心配しながら後片付けをしていると ・・・

聞いていくところによると ガーコさんは現在、高齢で闘病中のお父さんと 二人(匹)暮らし

(※ ドバトさんは本当はキジバトですが 周りからは「ドバトさん」と呼ばれています)

ちょっと複雑そうな表情です ・・・

そんなこんなを 「なるほど〜」「そうですか〜」と

ドバトさんは 相槌をうちながら聞き続けています。

今日は 聴講のレポートも無事?に提出して

ホッと一息ついているドバトさんが

掃き掃除をしています。

友人からの誘いも一切断り、職場から帰宅するやいなや夕食の準備に取り掛かります。



  病院から厳しい食事制限を強いられているお父さんのため、

  几帳面な彼女は、いつもきちっと分量を計って調理をしているのです。

ふだんは銀行の窓口で愛想良く対応してくれているガーコさん ・・・

    だけど 今日はまったく別人(鳥)のようです。

ふ〜〜〜〜っ!! 背後で大きなため息が聞こえてきました。

振り向けば アヒルのガーコさんが険しい顔つきで貼り紙を見つめています。