「ひらめさんのお店」の前で立ち止まっているのは シマリスのお嬢さん二人連れ! 旅の途中です。 

実は先日、大失恋をした彼女たち ・・・ 気分転換を兼ねてこの地にやってきたのですが 道に迷ったり雨に降られたり ・・・
そんなこんなで なかなか悲しみも癒されずトボトボ歩いているところに たまたまここが目に入ったのです。

ドキドキしながら扉をあけると ・・・   「えっ!! どうしてなの!」 なぜだかとても懐かしい ・・・
初めて訪れたはずなのに ・・・
お店のみならず ひらめさんも常連の大ドバトさんも初対面とは思えない!! 

大ドバトさんが勧めてくれたジュースは ほどよい甘さで心地よく喉を潤し 体の中からは
どんどんパワーがみなぎってくるのがわかります。

やってきたのは、こちらも常連「大ドババさん!!」
     ( ・・・ といっても大ドババさんはお客さんではありません。ただお喋りをしにやってくるだけなのです)

大ドババさんは つかつかつか!!っと入ってくるなり

くどくど くどくど くどくど くどくど くどくど くどくど ・・・  大ドババさんは、言い出したら止まりません。

大ドバトさんと大ドババさんは、幼なじみです。だから ・・・ という訳ではありませんが
こんなやりとりは今に始まったことではありません。

二人とも、ひときわ大きな土鳩(キジバトではなく本当のドバト)なのでこんな名前なのです。

ひとしきり言い合ったあと 大ドバトさんがボソッと言います。

そのとたん、大ドババさんの顔色が、さっと変わりました。

横ではどうしていいかわからず
オロオロするシマリスさんたち

そんな中、ひらめさんはすでに感じていました。  大ドババさんが背負ってきた過去 ・・・
 
  だけど ちくわさんの一件以来、彼女もまた「何か変わらなくっちゃ!」と必死でもがいていることを ・・・

 なぜならば、それは全く他人事ではないってことをも ひらめさんは感じていたからなのです。

音色 ・・・ とは言いがたい大きな音が店中に響きました。

ほんの一瞬 ・・・ そう!ほんの一瞬でしたが みんなの動きがピタッと止まりました。

すべてのものが霧のごとく浄化された。。。 
といっても過言ではない ・・・ そんな瞬間でした。

その後は、いつもの調べです♪

    ♪べべん べん べん ♪♪ べべん べん♪  ♪べべん べんべん ♪べべん べん♪♪

いつも間にか みんな寄り添っていました。

どんなことがあったって ・・・ 誰もが大きなものに包まれている ・・・

  だから明日もまた進んでいける ・・・ そんな感覚でした。

そのあと ひらめさんは南国フルーツのジュースをごちそうしてくれました。
浄化された涙の粒が凝縮されたような ・・・ そんな不思議な味でした。

シマリスさんたち、ここにくるまでクヨクヨしていたことなんて
      もう、すっかり忘れています。

大ドバトさんと大ドババさん こちらも仲良く肩を並べてお店を出ます。

そのままずっと仲良く 

  ・・・ と言いたいところですが ・・・

余談ですが ・・・ (笑)

そこへ  ガラガラガラ ・・・

シマリスさんたちは
あっという間にうちとけてしまいました。

そしてポロポロと涙を流しながら大ドバトさんに食ってかかります。大ドバトさんも、それ以上は何も言えません。

二人はすがすがしい表情でお店をあとにしました。

きっと又、近いうちに立ち寄ってくれることでしょう。

3歩も歩いたら この調子!!
トリだから仕方ない ・・・ のでしょうか ・・・
「完璧に忘れてしまうのは時には容易なことではないんやべん ・・・ でも、ある程度の時間の流れと
次に進む一歩を踏み出すことは 少なからずともその手助けをしてくれるんやべん」

「忘れてしまいたいこと。。。 忘れたくはないこと。。。 忘れてはならないこと。。。
   時には自分の意思だけでは思うようにいかんこともあるけれど
 それは今 こうして生きているって証拠でもあるんやべん。。。」

        ひらめさんは自分のことをも含めて、そうつぶやいていました。

そしてギャーギャー騒ぐ二人の背中が小さくなって見えなくなるまで
大ドババさんに精一杯のエールを送りながら、たたずんでおりました。

「本当に忘れてしまいたいこと」も、このように3歩あるいて忘れられたらいいのですけどね ・・・

直感!とでもいうのでしょうか ・・・

和やかな時間です。

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